SAFERGROUND SESSIONS Presents “THIRD STEPS Vol.3” レポート
文:春日 正信

8/28 裏小樽モンパルナス
8/29 札幌 KLUB COUNTER ACTION
Likkle Mai & The Kを迎えたレベル・ミュージック100%の2Days。
「排外主義ファックオフ!」「誰も踏まないステップで踊れ!」
これまでSAFERGROUND SESSIONSが掲げてきたスローガンが、レゲエ/ダブという、長いレベル・ミュージックの伝統をもつ音楽と固く結びついた。

8月28日の裏小樽モンパルナスではpast honey merciによる弾き語り、Likkle Mai & The Kによる「No Hate」セットに加えて、観客を交えた90分におよぶ白熱のトークセッションが行われた。

8月29日のKLUB COUNTER ACTIONでは札幌を拠点に活動するTHE人生ズとPampas Fields Noise Found artが共演。
THE人生ズはバースペースで生音のライヴを披露。反戦と反差別をガツンと打ち出した最高の人間讃歌を聴かせてくれた。

Pampas Fields Noise Found artはノイジーなビートとアグレッシヴな演奏でフロアをサイケデリックに染めた。

そしてLikkle Mai & The Kによる圧巻のパフォーマンス。魂をゆさぶるリディム民謡「花笠音頭」、ドライ&ヘヴィの名曲「Mr. Blue Flame」「Live Together」、ネットに蔓延するヘイトを風刺する「ネット横丁」、シオニストの侵略に反対し、パレスチナの平和と自由を願う「GAZA」、三池炭鉱で生まれた労働歌「がんばろう」に強く鼓舞された。

ギターを弾きながらリズム・トラックの抜き差しとエフェクトとコーラスを同時に操るThe Kの演奏はマジシャンのよう。どうやって出してんの? と驚嘆しながら踊った。
小樽・札幌の両日ともに、dubthingはこのセッションのために用意した極上のレゲエ/ダブをフロアに送り込んだ。

8月29日の札幌では、小樽に続いて、SAFERGROUND SESSIONS主宰の戸沢淳とリクルマイによるトークセッションが行われた。
冒頭、司会を担当した春日は、このセッションについて問いかけた。
「なぜ、いまレベル・ミュージックなのか?」

戸沢は、SAFERGROUND SESSIONSが行っている一連の活動を「文化を使ったケンカ」と呼んだ。
背景にあるのは、「日本人ファースト」に象徴される排外主義の広がりと、北海道でも実際に起きている外国人への嫌がらせや暴力への危機感だ。音楽と社会運動をつなぎ、差別と排外主義に対抗するために、SAFERGROUND SESSIONSは始まった。
〈THIRD STEPS〉は今回で3回目。Vol.1では「パンクとレゲエ」、Vol.2では「《解放区》の音楽」をテーマに、音楽と反差別の関係を掘り下げてきた。さらに6月には「NO HATE NO WAR, PROTEST MARCH」で、音楽を札幌の街に持ち出した。
今回のVol.3では、レゲエ/ダブと、その根底にあるレベル・ミュージックに焦点を当てた。
ゲストのリクルマイは、自身がボブ・マーリーの音楽から受け取った「ひとりひとりに権利があり、立ち上がることができる」というメッセージを語った。それは彼女が現在も歌い続けている、レベル・ミュージックの核心でもある。
一方で、排外主義は参政党など特定の政治勢力だけの問題ではない。リクルマイは、自身が関わってきたレゲエ・コミュニティのなかにも、「自分たちのほうが優れている」という考え方が入り込むことがあると指摘した。「ファースト」と順位をつければ、必ず「セカンド」「サード」として排除される人が生まれる。

戸沢はまた、日本のパンク文化も必ずしも平等な空間ではなかったと振り返った。強さや過激さを重視する不良社会の文化が、「俺たち」と「奴ら」を分ける排外主義につながることもある。その一方で、KLUB COUNTER ACTIONには、国籍や文化の違いを越えて世界各地のバンドや人々を受け入れてきた長い歴史がある。その事実そのものが、排外主義へのカウンターになっている。
「音楽さえあれば世界は変わる」とは思えない、と戸沢はいう。音楽の力だけでは変えられないことも多く、制度や法律を変える必要がある。
それでも、音楽には人をつなぎ、行動へ向かわせる力がある。
では、ひとりひとりに何ができるのか。
戸沢は「面倒くさい人になる」ことを挙げた。差別的な言葉を聞いたら「それは違う」と言う。社会の「普通」に対して波風を立てる。自分自身がノイズになる。
リクルマイは、大きなことをしなくてもいい、と語った。差別的な言葉にNOと言う。誰かの活動を手伝う。会場に足を運ぶ。そんな小さな行動でもいい。問題を「自分にできるサイズ」まで小さくすれば、一歩を踏み出すことができる。
「俺らが音楽で集まっているこういう場が、俺はスタンダードだと思ってほしい。」と戸沢はいう。
誰もが一緒に音楽を聴き、踊り、集まることができる。そんな場所を「これが普通なんだ」と思える社会にしていく。
自分に何ができるのか?
どんな社会にいたいのか?
差別にNOと言えるのか?
そんなことを、音楽とともに考えた2日間だった。
出演してくれたLikkle Mai & The K、THE人生ズ、past honey merci、Pampas Fields Noise Found art
関わってくれたすべての人に感謝します。
小さな一歩でもいい。またここから、次のステップへ。
排外主義ファックオフ! 誰も踏まないステップで踊れ!
がんばろう
突き上げる空に
くろがねの男のこぶしがある
燃えあがる女のこぶしがある
闘いはここから
闘いは今から
(労働歌「がんばろう」:森田ヤエ子作詞、荒木栄作曲)

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