バルシュ・マンチョ『Live in Japan』


名著『ダークサイド・オブ・ロック2』に掲載された鮎沢裕之氏によるコラム「トルコのMANCOは学会員」を読んだときからずっと気になっていた、トルコの国民的歌手、バルシュ・マンチョに本格的にハマりそう。


この『Live in Japan』は、1995年の日本ツアーを収録したライヴ・アルバム。60〜70年代の諸作にみられるネッチョリとしたサイケ感覚は薄れ、スケールの大きなスペイシーでプログレッシヴなアンサンブルが聴ける。これはこれですばらしい。


曲間にはさまれる流暢な日本語のMCにも、彼の日本びいきが表れており、ほほえましい。「Domates, Biber, Patlican」という曲のコーラス部分は、ご丁寧に「トマト・ピーマン・ナス・ナス」と日本語で歌っている。


そして、アルバムのクライマックスとなるのは、「日本の父から詞をいただきました」というMCではじまる日本語曲「時の旅人」。これ、どうやら池田大作の作詞なんですね。
この来日公演は創価学会の招聘によるもので、おそらく観客の大半が信者なわけですよ。当然、観客がいちばん盛り上がるのはこの曲なんですね。
ほかの曲に比べると、この曲だけえらく通俗的というか甘ったるいポップス風アレンジで、正直陳腐なんですが、マンチョはこの曲に深い真心をこめて歌っていて、なんかちょっと形容しがたい種類の感動に襲われる。ある意味スピリチュアル。珍品だが名盤だと思います。

Barış Manço - Domates Biber Patlıcan

Barış Manço - Kara Sevda