少し古びた中国風の公民館のようなレンガ造りの大きな建物で、催し物が行われている。
私もその一角に出店を出すことになり、タイカレーを作って搬入している。
薬味セットも用意した。蕗を煮たのとか、ちょっと珍しいのも含め何種類かある。アルミのトレーに乗せて冷蔵庫に入れる。
もっとたくさん作ればよかったなあ。あれこれ準備したつもりだったけど、いろいろ足りない。
知り合いのデザイナーも来ている。「これ、意外とタイカレーに合うんだよ」と、蕗の薬味を自慢する。
学生時代の友人が作ってきた、いろんなハーブっぽい葉野菜が入った混ぜご飯にカレーをかけて食べるセットもすごくうまそうだ。
気がつくと中国人や韓国人、タイ人が周りに店を出してきた。
カンフーの演武を練習をしている一団がいる。
1メートルぐらいの大きな筆に墨をつけている男たちがいる。
ひらめいた! 「亜細亜友好食堂」ってどう?
でっかい看板を出そう。誰か字がうまい人いないかな。
周りの人たちにコンセプトが伝わったのか、みんなが作ったポスターが持ち寄られてあちこちに貼られる。
青が基調のレトロ中国風のデザイン。ドラゴンボールのパロディっぽいのも。
そうそう、こういうのをやりたかったのよ!
イベントは2日間開催されるんだけど、1日目でこんだけ場が盛り上がるのって、俺、イベントプロデュースの才能あるんじゃね?
少し離れた一角では人々にチャイニーズ・ワインが振る舞われ、酒宴が設けられている。
チャイナ服を着たチームナックスが談笑しながら蹴鞠のようなボール遊びをしている。
大泉洋に「見てくださいよ。私がプロデュースしたんですよ」と声をかけると、ニヤニヤ笑いながら後ずさり。なんかしらじらしくてよそよそしい。もっと喜んでくれると思ったのに。
ほかのナックスのメンバーは「春日さんすごいですね」とほめてくれた。
カンフー着姿で蟷螂拳の演武をしているお姉さんが声をかけてきた。
見よう見まねで手足を動かしていると、
「脚の出し方はこうですよ。腕を引いてグッと構えてすばやくシャシャシャと動かすと、脚がついて動くんです」
おー、ほんとだ!
子供の頃カンフー映画に憧れてたけど、はじめてこんな技を習って自分でもできたことがうれしくて、感慨が込み上げてきて、おいおい声を上げて泣いてしまった。
※画像はMicrosoft Copilotで生成