わが心の師、湯浅学

あなのかなたに

あなのかなたに

Inter FM根本敬さんと湯浅学さんの新番組「ドントパスミーバイ」がはじまった(毎週土曜15時〜)。
http://www.interfm.co.jp/dny/
第1回は、電波塔から怪電波がビュンビュン飛ぶさまを幻視してしまうような、すばらしい内容だった。


※『remix』で湯浅学さんの連載の担当編集をしたのは得がたい体験だった。タイトルは埴谷雄高をもじった「闇の中の黒い人」。黒人音楽の連載なのに、打ち合わせの後半は必ず勝新内田裕也の話になった。そっちのほうが長くなることもしばしば。
ハードディスクを探していたら、連載当初(2003年2月)の企画書が出てきた。懐かしい。

「新譜中心の紹介になりがちな本誌において、過去のすぐれた音楽を紹介する音楽偉人伝的な内容。連載序盤は、とくにジャズ、ソウル、ブルーズなど黒人音楽の系譜についての記述を希望。(例:サン・ラ、ファンカデリックコルトレーン、マイルス、ジミ・ヘンドリクスミーターズマディ・ウォーターズフェラ・クティ、など)。このあたりは現在のクラブ・ミュージックへの影響が大きいにも関わらず、現在のリスナーは過去に遡って聴く機会が少ないので、きっちり紹介したい」

実際に扱ったアーティストは、アフリカ・バンバータ、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、チェアメン・オブ・ザ・ボード、チャック・ベリー、テレンス・トレント・ダービー、ロジャー(ザップ)、チャーリー・パットン、ソウルIIソウル、ザ・コースターズ、スクリーミン・ジェイ・ホーキンス、ルイ・ジョーダン、スモーキー・ロビンソン、ボ・ディドリー、アルバート・アイラーファッツ・ドミノダニー・ハサウェイコーネル・デュプリー
『remix』らしからぬ、でも『remix』にふさわしい、いい連載だったと思う。


※湯浅さんは原稿の催促に居留守を使ったり、「もうほとんど書けてます」なんて嘘をついたりしない。堂々と電話に出て「まだだな」と言う。


※湯浅さんの原稿は、原稿用紙に手書きされたものがファクスで送られてくる。頭のなかで構成を固めて一気呵成に書くのだろう。ワープロ世代の俺にはとうていできない芸当だ。


※湯浅さんが旅先でどうしても原稿が書けない、送れないというとき、突然俺の携帯に「ボ・ディドリーは……」ではじまる短文のメールが届いた。どうやら携帯メールで原稿を書きはじめたが、数行で挫折したようだということはわかった。爆笑した。