JAPROCKSAMPLER ジャップ・ロック・サンプラー -戦後、日本人がどのようにして独自の音楽を模索してきたか-
- 作者: ジュリアン・コープ,奥田祐士
- 出版社/メーカー: 白夜書房
- 発売日: 2008/07/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本すごいよ!
日本のロックの暗黒史が、ジュリアン・コープによって明らかに!
内田裕也とフラワーズ/フラワー・トラヴェリン・バンド、スピード・グルー&シンキ、ファー・イースト・ファミリー・バンド、裸のラリーズ、J.A.シーザーといった日本のサイケデリック/プロト・メタルに重点を置いて書かれているんだけど、このへんの音楽をきっちり語れるのって、日本でも湯浅学ぐらいしかいないんじゃないかな。
これだけの情報をまとまった分量で読める本は、いまほとんどないと思う。
さらにこの本が魅力的なのは、大野松雄や小杉武久ら現代音楽家たちの動向や、ハイレッド・センターやオノ・ヨーコら当時の前衛芸術家たちにも言及していること。
読み進んでいくうちに、いままで点と点だった断片的な知識が、一本の太い線につながってくるような快感がある。
希代のレコード蒐集家でもあるジュリアン・コープは、主にレコードから情報を得てこの本を書き上げたらしく、憶測や過剰な思い込みが先走ったのだろう、随所に事実誤認が見受けられる。
そのためおびただしい脚注がつけられており、なかでももっとも誤記が多いポリドールの折田育造氏などは、最後にインタビューで自分に関する間違いを訂正している。また、巻末には近田春夫とマーティ・フリードマンの対談が付記されており、このジャンルに詳しくない読者へのフォローもちゃんと効いている。
あの時代にこれだけのフリークスがいてめちゃくちゃやってたんだなーと思うと、元気が出てくる。