広瀬正『T型フォード殺人事件』

マイナス・ゼロ (集英社文庫)

マイナス・ゼロ (集英社文庫)

なんの気なしに車内吊り見てたら、「広瀬正『T型フォード殺人事件』」という活字が目に飛びこんだ。
うわっマジか! 集英社文庫から小説全集が復刊!?


『マイナス・ゼロ』をはじめて読んだときの衝撃は忘れられない。
郷愁と憧憬が入りまじった、すごく複雑で、とっても幸せな気持ち。
緻密なディテールと手の込んだからくり、
イカラだけど和風ダシのたっぷり効いた、空前絶後SF小説
学生時代、古本屋を回って『ツィス』と『エロス』は手に入れたんだが、
『T型フォード殺人事件』と『タイムマシンのつくり方』は見つけられず、
自分にとっては幻の作品だった。


『T型フォード殺人事件』を近所の本屋でいそいそと買ってくる。
ああ、なんという僥倖。
本編はまだ読んでないが、あとがきによると、彼はプロのカーモデル職人だったそうではないか。
この作品にもその知識が反映されているらしい。
「SFとジャズが大好き、しかもモデラー」なんて、俺の波長が合うわけだわ。
なんとまあ、時代の先を行ってた人なんだろう。


そういや、いま思い出したんだが、広瀬正を読もうと思ったのは、
小室哲哉が雑誌かなんかでリコメンドしてたからだった。
どんだけ俺に影響与えてんだよ、小室さん……。