- 作者: 内田裕也,吉田豪
- 出版社/メーカー: 廣済堂出版
- 発売日: 2008/12/19
- メディア: 文庫
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ロックンロールについて書かれた本はあまたあれど、
こいつは本そのものがロックンロールだ!
どでかいインパルスに全身を貫かれたような読後感。
ビリビリくるぜ。
わくわくして、むずむずして、思わず体が動きだす。いてもたってもいられない。
甘美で暴力的で、一度味わったら忘れられない肉体的な快感。
この人にとって「ロックンロール」とは型ではなく、この衝動、この快感なんだな。
わかる。ドラム&ベースもPerfumeもガンダムも、俺にとっては「ロックンロール」だもん。
内田裕也が主演した『餌食』という映画がある。
ここで彼は、レゲエ・バンド(なんとマトゥンビ!)を日本に売り込む冴えないロック歌手を演じているのだが、
当時最先端の音楽だったレゲエに入れ込む内田裕也のシビれっぷりは演技とは思えない。
劇中ではピーター・トッシュもかかってるんだが、
当時の彼にとって、レゲエは「新しいロックンロール」だったのだなあ。
しかし、とても「レゲエ好きは必見!」とかいえない映画なので注意。
'79年/獅子プロ/カラー/80min
監督:若松孝二/脚本:荒井晴彦、高田純、出口出/撮影:志村敏夫/
音楽:ピーター・トッシュ、マトゥンビ
出演:内田裕也、多々良純、宮田明、栗田洋子、水島彩子、鹿内孝、草薙良
アメリカ帰りのロック歌手が“レゲエ”を土産に帰国。世間に受け入れられない怒りが大量無差別殺人へと向かう…。“ロック馬鹿”内田裕也が、自らの思いを投影したミュージシャン役で主演。ふやけた時代と現代人に牙をむく!
(チラシより)
全編デロンデロンにダウナーな空気が漂っており、体調が悪いとき見ると悪酔いすること必至。
ビンビンに突き抜けた理不尽さが狂気を誘う。
麻薬も暴力も殺人も「別世界のお話」ではなく、「日常と地続き」という視点で描かれているから、
ヤクザ映画のカラッとした作り物のバイオレンスではなく、どんより、じっとりした負のカタルシスがイヤーな感じで襲ってくる。
同好の士にはぜひ観ていただきたい。
ところでこの『俺はロッキンローラー』、渋谷やら六本木やら何軒か書店を回ったんだが見つからず、
下北沢ヴィレッジヴァンガードでようやく発見したら、山積みになってて拍子抜けした。
まあそういう本ではあるんだが。
しかしあれだね、下北ヴィレッジヴァンガード、
すんげーひさびさに行ったけど、
自己啓発書やらビジネス書がけっこうな量入荷しててびっくり。
あの店って「サブカル総本山」みたいな印象があったんだけど、
やっぱり、ドロップアウトよりライフハックの時代なのかねえ。
せちがらいねえ。